擦り傷、傷、火傷、切り傷...傷の手当の仕方によって、治りにくくなったり、感染などの合併症を引き起こす可能性があります。一方でより早い治癒を保証するために避けるべき方法もあります。ここでは一般的な傷の手当てに関する誤解や神話を10つ紹介します。
- カルネ
- Idées reçues
- 傷の治癒に関する10の神話。
傷の治癒に関する10の神話。
- 神話1: 傷は空気にさらした方が早く治る
- 神話2: 包帯を使うと細菌が繁殖する
- 神話3: 傷のケアをするほど、傷跡は小さくなる
- 神話4: アルコールや過酸化水素で傷を消毒するべき
- 神話5: 小さな傷は処置しなくても良い
- 神話6: 海水で傷が早く治る
- 神話7: かさぶたは良好な治癒のサイン
- 神話8: 傷は乾燥させるべき
- 神話9: 傷の治癒が遅いのは普通のこと
- 神話10: 深い傷の方が痛い
- 参考文献
神話1: 傷は空気にさらした方が早く治る
逆に、傷を外部にさらすと感染のリスクが高まり、結果として合併症を引き起こす可能性があります。また、空気にさらされた傷はかさぶたを形成し、これが傷の治癒を難しくします。このような状態では、新しい皮膚組織の形成が妨げられ、治癒が遅れてしまいます。多くの科学的研究により、傷は初日から完全に治るまで適切に覆った方が早く、そして効果的に治癒することが示されています。
どうすればいいのか?
傷を清潔な水で洗浄した後、適切なドレッシングを適用してください。これにより、治癒に適した湿潤環境を作り出し、維持し、コントロールすることができます。この湿潤環境では、表皮細胞が移動しやすくなり、上皮化や肉芽形成が促進されます。
神話2: 包帯を使うと細菌が繁殖する
傷を覆って湿らせると細菌が繁殖すると考える人がいます。しかし、覆われた傷は早く治癒するだけでなく、ドレッシングが異物の侵入を防ぎ、感染のリスクを大幅に軽減します。ただし、傷が湿りすぎても問題があります。例えば、ポリエチレンフィルムのような密閉型のドレッシングでは、傷表面に湿潤で暖かい環境が保たれ、壊死や細菌の増殖リスクを高める可能性があります。そのため、傷表面と外部環境の間でガス交換が行われることが望ましく、これにより細菌や異物による汚染を防ぐことができます。
どうすればいいのか?
適切な皮膚の水分バランスを保ちながら治癒を促進するためのドレッシングを選びましょう。空気や水蒸気を部分的に通す微小孔素材のドレッシングが理想的です。これらは機械的に保護し、余分な滲出液を吸収し、湿潤環境を維持します。また、ドレッシングが傷面に付着しない素材を選ぶことも重要です。付着すると、移動した上皮細胞が剥がれ落ちる可能性があります。
神話3: 傷のケアをするほど、傷跡は小さくなる
これは本当です!傷のケア方法が治癒に直接影響します。適切なケアをしないと、感染や合併症のリスクが高まります。非粘着性の滅菌ドレッシング、抗生物質軟膏、生理食塩水の使用は、治癒プロセスを大幅に向上させ、健康的な回復を助けます。傷のケア方法が分からない場合は、医師に相談してください。
神話4: アルコールや過酸化水素で傷を消毒するべき
アルコールや過酸化水素(オキシドール)は、傷の消毒や不純物の除去に広く使われていますが、これらは健康な周囲組織を損傷する可能性があります。抗菌効果はあるものの、細胞や組織にダメージを与え、刺激や炎症、タンパク質の分解を引き起こす可能性があります。そのため、特に火傷の場合、これらの溶液は治癒を妨げることがあります。
どうすればいいのか?
傷を清潔にすることは、適切な治癒に不可欠です。新しい傷は、温かい石鹸水や生理食塩水を含ませたガーゼで中心から外側に向かって洗浄しましょう。その後、広範囲にわたる非刺激性の消毒液(ヨウ素系やヘキサミジン、クロルヘキシジンなど)で消毒し、感染リスクを最小限に抑えます。
神話5: 小さな傷は処置しなくても良い
小さな傷も適切に処置する必要があります。放置すると感染して健康問題を引き起こす可能性があります。すべての切り傷は細菌や病原菌が侵入する可能性があるため、清潔にして保護することが非常に重要です。
神話6: 海水で傷が早く治る
夏になると「海水が傷の治癒を助ける」という話を耳にしますが、これは誤りです。海水に傷が触れると皮膚が腫れ、治癒が妨げられるだけでなく、高い感染リスクや刺激、治癒遅延を引き起こします。海水は殺菌や治癒効果を持たない上、多くの細菌や不純物を含んでいます。
神話7: かさぶたは良好な治癒のサイン
傷を空気にさらすとできるかさぶたは、細胞の成長を妨げ、治癒を遅らせる可能性があります。かさぶたの下には炎症を起こした組織や細菌が隠れ、感染のリスクが高まり、傷跡が残りやすくなります。傷が大きい場合は、定期的に医師に相談することをお勧めします。
どうすればいいのか?
かさぶたができた場合、傷を再び開かないように掻かないでください。代わりに、クリームで保湿してかさぶたを柔らかくし、自然に剥がれるのを促進しましょう。
神話8: 傷は乾燥させるべき
傷を乾燥させると治癒が早まるという考え方は誤解です。研究によると、湿潤環境の傷は乾燥した傷よりも2~3倍早く治ります。湿潤環境は褥瘡の形成を抑え、角化細胞の移動と再上皮化を促進し、炎症を軽減し、コラーゲン合成を促進します。一方、乾燥した傷は感染しやすく、治癒が遅れる可能性があります。
どうすればいいのか?
局所抗生物質軟膏やワセリンを傷に塗り、その後適切なドレッシングで覆い、清潔を保ちましょう。ドレッシングは少なくとも1日に1回交換してください。
神話9: 傷の治癒が遅いのは普通のこと
傷の治癒が遅い場合、それは糖尿病などの病気、免疫力の低下、血液循環の問題を示す症状である可能性があります。適切に処置しているにもかかわらず治癒が遅い場合は、医師に相談することが重要です。
神話10: 深い傷の方が痛い
実は逆です!浅い傷の方が痛みを感じやすく、これは表皮のすぐ下にある神経末端が影響を受けるためです。そのため、日常的な切り傷や擦り傷でも、適切な保護とケアが必要です。
参考文献
MAIBACH H. I. & al. 人間の実験的皮膚傷に対する空気露出と閉塞の影響。 自然 (1963年)。
ERIKSSON E. & al. 一般的に利用可能なドレッシングによる湿潤創傷治癒。 創傷ケアの進歩 (2021)。
肌タイプ診断
自分の肌タイプと
お肌に合ったケアを調べましょう。