肌の色が濃い、明るい、または中間色など...色黒の人は色白の人よりも紫外線に強いと思われがちで、それが紫外線対策の意識にも影響を与えています。では、実際に肌の色に合わせて対策を変える必要があるのでしょうか?

日焼け止めクリームの使用方法は肌の色によって変わるのでしょうか?
日焼け止めの塗り方に違いはある?
黒い肌の人の皮膚がんの発症率は低く、全体のがんのうち約2%を占めるのに対し、色白の人では約40%とされています。しかし、皮膚がんによる罹患率(病気になる割合)や死亡率は、有色人種の方が高いことが分かっています。その理由として、肌の色が濃い人は皮膚がんの診断が遅れる傾向があり、発見時にはすでに進行していて治療後の見通しが悪いことが挙げられます。
黒い肌の人の平均紫外線防御指数は13.4であるのに対し、白い肌の人は3.4とされています。この違いは確かに紫外線への耐性を示しますが、「肌が黒いから日焼け止めは不要」という考え方には注意が必要です。
1998年と2004年の夏に、アメリカの11〜18歳の青少年とその親を対象にランダムな電話調査(1998年:1,187人、2004年:1,931人)を実施し、紫外線に対する認識や行動、日焼け経験などを調査しました。その結果、白い肌の人と、肌の色が中間〜濃い人の間で、皮膚がんのリスクに関する知識や日焼け止めの重要性の認識に大きな差があることが分かりました。しかし、興味深いことに、肌の色が濃い人ほど「日焼けした肌の見た目」に対する美容的な関心が低い傾向がありました。
また、皮膚疾患でクリニックを受診した肌の色が濃い人(55名)を対象にした別の調査では、74%の人が一度も日焼け止めクリームを使ったことがないと回答しました。さらに、日焼け止めを使用している人の62%、使用していない人の73%が、「肌が黒い人も皮膚がんになる可能性がある」という事実を知らなかったのです。
現在、アフリカ系、アジア系、ラテン系、中東系、アメリカ先住民、地中海系の人々を対象に、「日焼け止めが皮膚がんリスクをどれほど低減するか」を検証した研究はありません。しかし、このデータを明確にすることは非常に重要です。日焼け止めが「日焼け防止」以上の効果をもたらす可能性があるかどうかを、今後の研究で明らかにする必要があります。
推奨事項 : 肌の色が濃くても皮膚がんになる可能性があります。しかし、有色人種は紫外線の危険性を軽視し、日焼け止めを使う割合が低い傾向があります。また、皮膚がんのリスクについての認知度も低いため、適切な対策が取られていません。したがって、どんな肌の色であっても、外出時には必ず十分な日焼け止めクリームを塗り、必要に応じてこまめに塗り直すことが大切です。
Sources
MARLOWE E. & al. Commentary on ‘UVB-SPF’: the SPF labels of sunscreen products convey more than just UVB protection. Photodermatology, Photoimmunology & Photomedicine (2008).
WARD E. & al. Sunburns, Sun protection and indoor tanning behaviors, and attitudes regarding sun protection benefits and tan appeal among parents of U.S. adolescents—1998 compared to 2004. Pediatric Dermatology (2010).
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