妊娠中、肌は多くの負担を強いられます。出産後、肌は弾力や柔軟性を失い、乾燥して見えることもあります。また、セルライトや妊娠線、茶色いシミなどの肌の不快なトラブルが現れることもあります。ここでは、赤ちゃんを産んだ後に引き締まった肌を取り戻すためのアドバイスをご紹介します。

栄養を与えるケアを行う
シアバターのオレイン酸オイルやアボカドオイルなどの栄養を与えるクリームや植物オイルは、出産後に肌の引き締まりを取り戻すのに役立ちます。これらは通常、線維芽細胞によるエラスチンやコラーゲンの合成を促進する成分を含んでおり、肌を引き締め、妊娠線やセルライトの見た目を軽減するのに効果があります。
ケアを行う際には、成分が肌にしっかり吸収されるよう、適切な使い方を心がけることが重要です。腕、臀部、腰、お腹など、どの部位でも、まずは清潔で乾いた肌にケアを塗布してください。さらに、マッサージを行い、血行を促進するために、滑らかで流れるような動きで刺激を与えましょう。
重要: 授乳中の場合、赤ちゃんの肌と頻繁に接触するため、使用するケア商品の成分に注意を払うことが大切です。より安全を期すために、妊婦向けの製品を使用することをお勧めします。
健康的でバランスの取れた食事を心がける
出産後に体力を回復するためには、食事が重要です。また、健康的でバランスの取れた食事は、妊娠後に引き締まった肌を取り戻すための味方にもなります。特に亜鉛や銅などの栄養素は、真皮内でコラーゲンを生成する役割を果たします。
生物学的に見ると、亜鉛はプロリルヒドロキシラーゼやリジルヒドロキシラーゼという酵素の遺伝子発現を調整し、コラーゲンを構成するアミノ酸の合成を助けます。銅は、プロリンをヒドロキシプロリンというコラーゲンの構造と安定性に重要なアミノ酸に変換するために必要です。
ただし、過度なダイエットは筋肉を減らし、脂肪を減らすどころか筋肉を失うリスクがあるため避けるべきです。そのようなダイエットはリバウンドを引き起こし、体重が元より増えることがあります(いわゆる「ヨーヨー効果」)。さらに、急激な体重の増減は、妊娠線の原因にもなり得ます。
栄養とエネルギーをしっかり補うためには、果物や野菜を豊富に含む食事に加え、タンパク質やナッツ類も摂ることが勧められます。例えば、サーモン、ツナ、サーディンにはオメガ-3脂肪酸が豊富で、心臓の健康、視力、さらには不安感の軽減にも役立ちます。ナッツ類(クルミ、ヘーゼルナッツ、アーモンドなど)はビタミンEや抗酸化物質、ビタミンB1やB9が豊富で、神経系を守ります。また、カルシウム、マグネシウム、リン、カリウムも含まれています。
さらに、水分補給も大切です。体内の毒素を排出し、肌を健康に保つためには十分に水分を摂ることが必要です。季節や気分に合わせて、ハーブティー、スムージー、ミルクセーキ、スープ、出し汁などを楽しんでください。ただし、熱い飲み物や冷たい飲み物は、温度が少し戻るまで待ってから飲む方が消化に良いとされています。
軽い運動をする
出産後、無理なく運動を再開することは、肌を引き締めたり、気分転換をするためにおすすめです。中には、理学療法士や助産師が提案する産後リハビリもあり、骨盤底筋群や腹筋のリハビリを含んでいます。経膣分娩や帝王切開をした女性は、妊娠や出産中に下腹部の筋肉が大きな負担をかけられたため、このようなリハビリが役立ちます。セッションを重ねるうちに、筋力や姿勢の改善が実感できるでしょう。
産後リハビリを終えた後は、運動を少しずつ再開できます。ただし、経膣分娩の場合は出産後2ヶ月、帝王切開の場合は4ヶ月待つことが必要です。筋力トレーニングは体を引き締めてトーンアップするのに役立ちますが、初心者の場合は専門家の指導を受けることをお勧めします。そうすることで、ケガを防ぐことができます。また、心肺機能を高めるための有酸素運動も、蓄積された脂肪を燃焼させ、少しずつ体を引き締めるのに効果的です。
さらに、ウォーキングやヨガ、水中エクササイズ(アクアビクス)、水泳などの軽い運動も選択肢としてあります。これらの運動を定期的に行うことで、体を引き締め、気分も良くなります。大切なのは、自分の体調に耳を傾け、無理をしないことです。特に疲れているときは、ケガを防ぐためにも無理をしないようにしましょう。
美容医療を考慮する
美容医療の技術の中には、肌のたるみを改善し、肌を引き締める手助けをするものもあります。
整形外科リフトアップ
整形外科におけるリフトアップは、筋肉や皮膚を引き締め、余分な脂肪を切開から除去する手術です。この手術は局所麻酔で行われ、術後にはむくみやあざが見られることがありますが、数日以内に改善します。
機械的刺激によるたるみ改善
この技術は、皮膚の真皮層にある線維芽細胞の活動を刺激することで、コラーゲンやエラスチンの生成を促進します。皮膚を軽くつかんで放し、調整可能な振動速度を持つパッドを使って行います。約20回のセッションで、肌の弾力性と引き締まりが改善されます。副作用は特にありません。
レーザー治療
この技術は、肌の再構築を助けるものです。レーザーは熱的・機械的エネルギーを利用し、チタン製の金属チップを用いて、5~18ミリ秒の間に皮膚の表皮と真皮に最大400度の自然な熱を加えます。これにより、皮膚に微小なチャンネルが作られ、引き締め成分の注入が容易になり、同時に線維芽細胞の活動も刺激されます。
参考文献
THORNBURG K. & al. The importance of nutrition in pregnancy and lactation: lifelong consequences. American Journal of Obstetrics and Gynecology (2022).
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