妊娠中はなぜ汗をかきやすいのか？

妊婦の約35％が妊娠中にホットフラッシュや夜間の発汗を経験します。これらの現象は不快ですが、体の中で有害物質や不要な廃棄物を排出するために重要な役割を果たしていると言われています。妊娠中の発汗の増加にはいくつかの要因があります。

妊娠4週目から、母体と胎児をつなぐ血流が始まり、妊婦の体内で血液の循環が活発になります。これは、母体の臓器に酸素や栄養素を供給するだけでなく、赤ちゃんに必要な栄養を届けるためでもあります。この血液循環の増加は、妊婦の体温を上昇させます。そのため、過剰な熱を排出するために汗をかくようになります。

また、妊娠中の体重増加も関係しています。脂肪細胞は体温を上昇させる役割を果たしており、これが体の熱を産生します。体は冷却のために汗をかく反応を示します。

ホットフラッシュや過剰な発汗はホルモンの影響にも関係しています。実際、妊娠中のプロゲステロンの増加が汗腺を刺激し、発汗を引き起こすことが研究で示されています。ただし、メカニズムについては明確な説明はされていません。

さらに、発汗過多は甲状腺機能亢進症（甲状腺の異常）が原因であることもあります。これは妊婦の約4％に見られ、心拍数や血圧の上昇を引き起こし、体温の上昇をもたらします。この症状は、赤ちゃんや母体に悪影響を与える可能性があるため、管理が重要です。主な影響は、成長の遅れや流産、早産のリスク増加です。ただし、甲状腺機能亢進症は妊娠初期に早期に発見されることが多く、上記の悪影響が起こるのは稀です。