妊娠中のサリチル酸：リスクはあるのか？

妊娠中にサリチル酸を外用することにリスクはあるのか？

まず、この特別な時期には慎重に行動し、サリチル酸を含む製品を使用する前に、必ず医療専門家に相談して、自分と赤ちゃんの安全を確保することが重要です。現在利用可能なエビデンスおよび消費者安全科学委員会（SCCS）の報告に基づけば、化粧品規則（附属書IIIおよびV）で定められた濃度範囲内で使用される場合、妊娠中でもサリチル酸を含む製品を安全に使用することが可能とされています。

サリチル酸は、米国食品医薬品局（FDA）によって妊娠におけるカテゴリーC薬剤に分類されています。
いくつかの研究では、妊娠中に低用量の経口アセチルサリチル酸を摂取した女性の結果が検討されましたが、先天性異常、出血性合併症、早産（流産）などの有害事象は確認されていません。

しかし、高濃度のサリチル酸が広範囲の皮膚に適用される場合（20%以上）や密閉状態で使用される場合には、胎盤を通過して胎児に到達する可能性があります。特に、妊娠後期に過剰使用すると、胎児死亡、出産前後の出血、または妊娠および分娩の遅延を引き起こす可能性があります。そのため、発展途上の赤ちゃんに有害なリスクがあるかどうかを判断するには、さらなる研究が必要です。

外用での使用に関する研究の不足

妊娠中のサリチル酸の外用使用に関する研究は行われていないため、具体的な推奨を行うことは難しいです。一方で、サリチル酸が皮膚にある程度吸収されることが示されています。そのため、胎児にリスクを及ぼす可能性は低いと考えられるものの、医師は通常、正常な皮膚への使用に限り、慎重に使用するよう推奨しています。

また、授乳中の女性におけるサリチル酸の外用使用に関する研究も非常に少ないです。主な懸念は、成分が全身に吸収されることで母乳中に分泌され、それが新生児の成長や発達に影響を与える可能性があることです。HIGGINS H.W. らの報告によれば、サリチル酸を用いた化学ピーリングは、全身吸収のリスクが低いため授乳中でも安全に使用できるとされています。

注意すべきポイント

以下の点に留意してください：

• サリチル酸の濃度を2%未満に制限すること

• サリチル酸の使用を外用に限定すること（粘膜を刺激するため）

• 小さな皮膚領域にのみ使用すること

• 損傷した皮膚にサリチル酸を使用しないこと（皮膚浸透が増加する可能性があるため）

• サリチル酸を含む製品を使用する際は、角質除去作用による感光性のリスクを考慮し、日焼け止めを毎日使用すること

• 妊娠中はサリチル酸ピーリングの使用が推奨されないため、乳酸やグリコール酸を用いた代替ピーリングを選択すること（これらはFDAのカテゴリーBに分類されています）。

妊娠中や授乳中にサリチル酸を使用する際は、必ず医療専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。