化粧品の製造には、効果や色、質感、香りなど様々な要素が考慮されます。特に消費者にとって、使用時の感覚は非常に重要であり、これは不透明化剤によって大きく影響されます。不透明化剤とは何か?どんな役割があるのか?以下で詳しく解説します。
なぜ化粧品に不透明化剤を使用するのか?
化粧品における不透明化剤の役割とは?
不透明化剤は、化粧品にクリーミーでリッチな外観を与えるために使われる成分です。例えば、パールワックスやラテックスコポリマー、染料などが該当します。その名の通り、不透明化剤は光の透過を部分的または完全に遮るため、製品に濃い白や密度のある見た目をもたらします。見た目以外にも、技術的な役割も果たす場合があります。
製品の安定化:パラフィンやセタノールなどの不透明化剤は、製品の安定性を向上させます。これらの成分は、不透明化剤であると同時に乳化安定剤として働き、油分と水分が分離するのを防ぎ、製品の保存期間を延ばします。
紫外線対策:酸化チタンなどの不透明化剤には紫外線を吸収または反射する機能があり、光によるダメージから製品および使用者を保護します。特にビタミンCなどの光感受性成分を含む製品で有用です。
テクスチャーの調整:不透明化剤の追加により、製品の一貫した質感が得られ、テクスチャー調整剤の作用が補完されます。不透明化剤によって、製品のミルクのような濃度が調整され、消費者に心地よい使用感を与えます。
主な不透明化剤の種類
化粧品にはさまざまな不透明化剤が使用され、それぞれが異なる利点を提供します。代表的なものをいくつか紹介します。
酸化チタン
酸化チタンは、化粧品で最も広く使われている不透明化剤の一つで、UVフィルターとしても使用されます。製品に濃い白色を与えることで、より不透明な外観を実現します。ナノ粒子状の酸化チタンは発がん性が疑われており、皮膚バリアを通過する可能性も懸念されていますが、不透明化剤として使用される際は粒子が大きく、角質層を通過することはないため、安全とされています。酸化亜鉛
酸化亜鉛も不透明化剤として微細な粒子で使用され、UVフィルター効果があります。酸化亜鉛のナノ粒子は不透明化剤としては使用されず、粒子が小さいため白色効果が発揮されません。ステアリン酸マグネシウム
ステアリン酸マグネシウムは脂肪酸であるステアリン酸の派生物で、粉状化粧品や口紅で使用されることが多く、製品のテクスチャーの調整にも役立ちます。ワックス類
天然ワックス(ミツロウ、カンデリラワックス、カルナウバワックスなど)は、化粧品の不透明化において重要な役割を果たし、製品にクリーミーでマットな質感を与えます。また、エモリエント(柔軟化)効果もあり、肌を滑らかにします。雲母
雲母(マイカ)は、クリームや石けんのテクスチャーを変化させるための不透明化剤として利用される鉱物で、主に岩石から抽出されます。化粧品には様々な仕上がり(サテン、パール、光沢の反射など)を与えることができます。タルク
タルクにはマット効果があり、透明度や半透明度を低減する役割も果たしますが、健康への悪影響が指摘されています。2024年には、「人に対しておそらく発がん性がある」(グループ2A)と分類され、人への発がん性の「限定的」証拠、動物での発がん性の「十分な」証拠、そして「強い」メカニズム証拠が示されています。
参考文献
DRAELOS Z. K. 化粧品:概観。 現在の皮膚科学の問題 (1995年)。
FERRITO S. & al. パーソナルケアと化粧品のためのポリマー:概要. ACSシンポジウムシリーズ (2013).
BAKI G. 化粧品製造と技術への導入. Wiley (2023).
STEWART P. & al. タルクとアクリロニトリルの発がん性. ランセット・オンコロジー (2024年).
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