ミノキシジルは赤ちゃんの多毛症（ウェアウルフ症候群）の原因なのか？

スペインのナバーラ薬事監視センターにおいて、体毛が異常に長い赤ちゃんが確認され、関係者に警戒感が広がりました。同様の症例が過去1年で10件報告されており、これらの赤ちゃんはウェアウルフ症候群（多毛症）を発症していました。多毛症は、全身または局所的に異常な毛髪の成長を特徴とし、顔や背中に多く見られることがあります。

この症候群には、遺伝的要因による「先天性」と、薬物、病気、ホルモンバランスの乱れに反応して発生する「後天性」の2種類があります。スペインで確認された赤ちゃんの場合、後天性多毛症として分類されました。つまり、出生時には正常だったものの、生後数カ月以内に異常な毛髪の成長が見られるようになったのです。

父親が使用したミノキシジルとの関連性

調査を行った薬事監視センターは、これらの赤ちゃんの父親全員が5%ミノキシジルを含むローションを使用していたことを発見しました。ミノキシジルは1970年代に血圧降下薬として開発されましたが、その毛髪成長促進作用が発見され、現在では薄毛治療薬として用いられています。この薬は血流を増加させ、毛髪成長のアナゲン期（成長期）を延長させる効果があります。

ただし、ミノキシジルは他の薬剤と同様、副作用を引き起こす可能性があります。特に「遠隔部位の多毛症」というリスクが添付文書に記載されており、塗布箇所以外の部位でも毛が生えることがあります。スペインの赤ちゃんで確認されたウェアウルフ症候群を受け、欧州医薬品庁はミノキシジルの添付文書を改訂し、「薬剤使用者との接触による多毛症リスク」を追加しました。

赤ちゃんへのミノキシジル伝達の理由として、「肌同士の密接な接触」や「偶発的な経口摂取」が考えられます。乳児の肌は薄く敏感であり、成人の肌より20%薄いため、薬剤を容易に吸収します。そのため、父親が赤ちゃんを抱きしめるだけでも、ミノキシジルが赤ちゃんの肌に付着し、吸収される可能性があります。

ミノキシジルによる赤ちゃんの多毛症：過去の事例と予防策

ミノキシジルの使用が原因で赤ちゃんに多毛症が発症したケースは新しい現象ではありません。科学文献には、2013年に2歳の子供、2020年には生後8カ月の乳児で同様の事例が報告されています。幸い、この影響は可逆的であり、父親がミノキシジルの使用を中止した後、赤ちゃんの異常な毛髪成長は徐々に改善されることが確認されています。

安全に使用するための注意事項

事故を防ぐため、ミノキシジルを使用する際は以下のポイントに注意してください：

1. 使用後は手を徹底的に洗う：ミノキシジルの残留物を完全に取り除く。

2. 完全に乾くまで待つ：製品が乾燥してから赤ちゃんを抱く。

3. 高い場所に保管：幼い子供が手の届かない場所にボトルを保管する。

4. 異常が見られたらすぐ医師に相談：赤ちゃんの肌に異常が現れた場合は、医療専門家に相談を。

正しい取り扱いを心がけることで、ミノキシジルの使用リスクを最小限に抑えることが可能です。