口角炎は、唇の端(口角)に発生する皮膚の炎症であり、赤みや腫れを引き起こし、痛みを伴うことがあります。その原因はさまざまですが、最も一般的なのは感染症によるものです。感染したひび割れた唇にどのように対処すべきか、一緒に探っていきましょう。
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口角炎:感染したひび割れた唇への対処法
口角炎に対する適切な対応とは?
口角炎(または口角びらん性皮膚炎)は、唇の端に生じる炎症で、その主な原因は感染症です。最も多く見られる病原体は**カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)**で、93%の症例で関与しています。ただし、この真菌が単独で炎症を引き起こすことは稀であり、60~80%のケースで黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)と同時に存在しています。また、8~15%の症例では、溶血性連鎖球菌(ストレプトコッカス)による細菌感染が原因となることもあります。さらに、単なる細菌・真菌感染にとどまらず、**単純ヘルペスウイルス(HSV)**によって繰り返し発生するケースもあります。
しかし、口角炎の原因は必ずしも感染症だけではなく、他の要因も考えられます。そのため、最初にすべきことは医師の診察を受けることです。
口角炎や感染したひび割れた唇の治療法
口角炎の治療は、その原因(感染性か非感染性か)によって異なります。しかし、感染症によるケースが多いため、まずは感染症を抑える治療が優先されます。
1. 真菌感染(カンジダ症)の場合
初期治療として、抗真菌クリームが処方されることが一般的です。通常、1日2~3回、2週間にわたって塗布することで治療が行われます。
症状が中等度~重度の場合や、炎症が口腔内まで広がっている場合、あるいは局所治療に反応しない場合には、経口抗真菌薬が処方されることもあります。この場合、14日間の服用が必要です。加えて、入れ歯を使用している場合は、入れ歯も抗真菌剤で処理する必要があります。
抗真菌薬の注意点
抗真菌薬の使用には、薬剤相互作用に注意が必要です。例えば、**フルコナゾール(fluconazole)は、免疫が低下している患者に対してナイスタチン(nystatin)よりも効果的であるとされています。しかし、フルコナゾールはドンペリドン(domperidone)と併用すると、心疾患のリスクを高める可能性があるため、注意が必要です。一方で、ナイスタチンの効果は一部の下剤(マクロゴールなど)**によって低下することが報告されています。
このように、抗真菌薬は患者の他の治療薬との相互作用を考慮したうえで、適切に処方される必要があります。
2. 細菌感染の場合
抗真菌薬による治療が効果を示さない場合、細菌感染が疑われます。この場合、局所抗生物質が処方され、1日4回、1~2週間の塗布が推奨されます。
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が関与している場合は、さらなる対策が必要です。特に、この菌は鼻腔内に定着していることが多いため、抗生物質入りの鼻腔用軟膏を使用することで、再感染を防ぐことができます。
通常、局所抗生物質の塗布で1~2週間後には改善が見られます。しかし、症状が広範囲に及ぶ場合や、局所治療で効果が見られない場合には、経口抗生物質が処方されることもあります。治療が失敗する主な原因は、耐性菌の存在や、感染リスク要因を取り除かなかったことです。
3. ウイルス感染(単純ヘルペスウイルス)の場合
口角炎の原因が**単純ヘルペスウイルス(HSV)**である場合、抗ウイルス薬の投与が必要です。
治療には以下の薬が用いられます。
アシクロビル(aciclovir)
バラシクロビル(valaciclovir)
ファムシクロビル(famciclovir)
これらの抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑制し、症状の期間や重症度を軽減します。治療の効果を最大限にするためには、発症初期の段階で速やかに使用を開始することが重要です。
また、ヘルペスウイルスは、ストレスや免疫低下によって再発することがあります。そのため、医師と相談しながら予防策を講じることも大切です。
口角炎の背景にある可能性のある疾患
稀に、口角炎は糖尿病やシェーグレン症候群などの基礎疾患と関連している可能性があります。このような場合、単なる対症療法ではなく、全身的な治療が必要となります。
Sources
LUGOVIC-MIHIC L. & al. Differential Diagnosis of Cheilitis - How to Classify Cheilitis? Acta clinical Croatica (2018).
SINDLE A. & al. Art of prevention: Practical interventions in lip-licking dermatitis. International Journal of Women's Dermatology (2020).
ZITO P. & al. Angular Cheilitis. StatPearls (2023).
HAFSI W. & al. Cheilitis. StatPearls (2023).
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