唇のひび割れの原因はさまざまで、冷たく乾燥した空気や紫外線、水分不足、ストレス、さらには基礎疾患などが考えられます。通常は、修復効果のあるリップケア製品を使用することで改善されますが、場合によっては医師の診察を受けたほうがよいこともあります。ここでは、どのような状況で受診を検討すべきかを紹介します。
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唇のひび割れ:受診すべきタイミングは?
唇のひび割れで医師の診察が必要な場合とは?
唇は顔の他の部分に比べて皮膚が薄く、皮脂を分泌する皮脂腺がほとんどないため、水分保持力が低く、特に冬場は乾燥やひび割れが起こりやすい部位です。ひび割れは、唇の局所的な炎症やひび、痛みとして現れ、場合によっては出血やかさぶたができることもあります。
通常、保湿力の高いリップバームを使用すれば、2〜3週間で自然に治癒します。しかし、場合によってはひび割れが長引くことがあり、その場合は「口唇炎(こうしんえん)」(chéilite)と呼ばれる状態になっている可能性があります。原因を特定するために、医師の診察を受けるのが望ましいでしょう。
特に、かさぶたができている場合は、細菌感染の可能性があります。これは、**連鎖球菌(Streptococcus)やブドウ球菌(Staphylococcus)**といった細菌による感染が考えられ、医師による診断が必要です。細菌感染が確認された場合、抗生物質の服用によって数日で改善することが期待できます。
一方で、かさぶたがウイルス性の可能性もあります。例えば、**単純ヘルペスウイルス(HSV)**が原因の場合、抗生物質は効果がありません。もしウイルス性の口唇炎が1か月以内に再発する、あるいは1年に6回以上繰り返す場合は、抗ウイルス薬の予防的治療が必要になることがあります。
発熱を伴う場合は注意
細菌性・ウイルス性の口唇炎では、微熱を伴うことがあります。もし唇のひび割れに加えて発熱がある場合は、早めに医師に相談することをおすすめします。
口角炎(こうかくえん)=「パールッシュ」の場合も受診を
また、**口角炎(こうかくえん、別名「パールッシュ」)**の兆候がある場合も、医師の診察を受けるべきです。口角炎は、唇の端(口角)に起こる炎症で、片側または両側に現れることがあり、赤く痛みを伴うひび割れやかさぶたができるのが特徴です。重症化すると口を大きく開けるのが難しくなり、傷口が開いて出血することもあります。場合によっては、炎症が頬や唇全体に広がることもあります。
口角炎の原因はさまざまで、歯科的・医療的・皮膚科的な要因が関係するため、総合的な治療が必要になることもあります。
口角炎の主な原因と治療
口角炎の多くは感染症が原因で、**黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)やカンジダ菌(Candida albicans)**によるものが一般的です。場合によっては、これらの細菌と真菌(カビ)が同時に関与していることもあります。
また、唇を頻繁になめる癖、口腔衛生の悪化、糖分の多い食事なども、口角炎の発症リスクを高める要因となります。
口角炎の治療としては、原因に応じて抗真菌クリームまたは抗生物質入りの軟膏が処方され、通常2週間ほどの治療で改善が見られます。
Sources
LUGOVIC-MIHIC L. & al. Differential Diagnosis of Cheilitis - How to Classify Cheilitis? Acta clinical Croatica (2018).
SINDLE A. & al. Art of prevention: Practical interventions in lip-licking dermatitis. International Journal of Women's Dermatology (2020).
ZITO P. & al. Angular Chelitis. StatPearls (2023).
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