近年、「子供用」と明記された日焼け止め製品が増えており、特定の年齢層向けであることを示しています。しかし、子供用と一般向けの日焼け止めには実際に違いがあるのでしょうか?

子供の肌の特徴
皮膚の構造は、誕生後も発達を続けます。研究によると、新生児の皮膚は生後1年間にわたり活発な発達を遂げ、6歳頃に成熟して大人の皮膚と同様の状態になります。そのため、乳幼児や幼児の皮膚は成人の皮膚とは異なる特性を持っています。
子供の肌は、大人の肌と比べて「敏感で繊細」であるとされています。皮膚の層の数は同じですが、外部刺激から保護し、水分を保持する役割を持つ角質層は大人に比べて30%薄く、表皮全体も20%薄くなっています。また、乳幼児の角質細胞(コルネオサイト)は成人よりも20%小さく、細胞の新陳代謝がより速いことが分かっています。
さらに、皮脂腺や汗腺の活動も弱いため、皮膚を保護する「皮脂膜」や「酸性膜」が十分に発達しておらず、バリア機能が未熟です。また、メラニンの合成機能も未発達で、特に3歳未満の子供はメラニン濃度が低くなっています。そのため、紫外線(UV)によるダメージを受けやすく、UVが皮膚の奥深くまで到達しやすくなり、真皮乳頭層や毛細血管にまで影響を及ぼす可能性があります。
子供用日焼け止めと大人用日焼け止めの違い
市場では「子供用」と記載された日焼け止めが販売されていますが、実際には子供用と一般向けの日焼け止めには大きな違いはありません。子供用とされる日焼け止めも、大人用と同じ紫外線防御成分(UVフィルター)を使用しており、基本的な保護機能に差はありません。UVフィルター以外の成分に若干の違いがある場合もありますが、それはごくわずかです。
子供の肌を紫外線から守るために選ぶべき日焼け止め
子供の肌を守るためには、アレルギーを引き起こしにくい日焼け止めを選ぶことが重要です。特に以下の成分が含まれる製品は避けたほうがよいでしょう。
オキシベンゾン(INCI名: Benzophenone-3)
エチルヘキシルメトキシシンナメート(INCI名: Ethylhexyl Methoxycinnamate)
オクトクリレン
これらの成分は、アレルギー反応を引き起こしやすいとされています。また、香料やエッセンシャルオイルなど、刺激性やアレルギーを引き起こす可能性のある成分も避けるべきです。
注意点
幼い子供(特に乳児)は、皮膚に塗布された成分をより多く吸収しやすく、またそれを適切に代謝・排出する機能が未熟です。そのため、アレルギーや肌トラブルのリスクが大人よりも高くなります。特に2歳未満の子供には、化学フィルターを含まないミネラルフィルター(酸化亜鉛・二酸化チタン)のみを使用した日焼け止めを選ぶことが推奨されます。
子供の肌を紫外線から守るための対策
幼少期に紫外線を過剰に浴びると、将来的に皮膚がん(悪性黒色腫)のリスクが約2倍になると指摘されています。そのため、以下のような対策を講じることが重要です。
✅ 6カ月未満の乳児を直射日光にさらさない
UVが最も強い11時〜15時の間は屋内や日陰で過ごす
特に3歳未満の子供には、軽くて密に織られた衣服で肌を覆う
顔や首を保護するために、つばの広い帽子をかぶる
UVカット機能のあるサングラスを着用する
6カ月未満の乳児には日焼け止めを使用しない
露出部分にはSPF50以上の広範囲UVカット日焼け止めを使用する
2歳未満の子供には、酸化亜鉛や二酸化チタンを使用したミネラルフィルターの日焼け止めを選ぶ
子供の肌は大人よりもデリケートなため、紫外線対策を徹底し、適切な日焼け止めを選ぶことが大切です。
Sources
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